ゆにさんの日記

京都・左京区の鍼灸院 鍼灸師ゆにさんの日記

鍼灸師のいる町

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こないだ、はじめての近所の方が来てくださって、

 

「私がお嫁に来たころやから、30年以上前やけど、このへんにはおばあちゃんの鍼灸師さんがいはったんよ。

 その時におばあちゃんやったからもうずいぶん前に亡くならはったけど、私はそのおばあちゃんにやいと(お灸のこと)を習って、自分でずっとやってきてん。

 もうだいぶん前になるし、やり方もようわからんようになってたから、また教えてくれたら自分でできるしな、ありがたいわ」

 

と教えてくれました。

 ちなみにその方は入ってくるなり、私が適当に貼っていた近所の神社のお札に、

「来ていきなりこんなん言うてアレやけど、お札はその向き、やめといた方がええのよ」

ということも教えてくれました。

 

施術のあいだいろんなことをお話ししましたが、その方は家の切り盛りをしながら、外へパートで長いこと働きに出ていらして、その間自分で体操をしたり、お灸をしたりしてからだを調えてこられたそうです。

 

その感じが、健康ブームとか趣味とかではなくて、たとえば煮物の作り方とかアイロンのあて方、みたいなのと同じように、からだの手当ても日常の中にごく普通に取り込まれている様子で、それでいきいきと働いていらっしゃるの、ほんとにいいなと思いました。

大先輩の、「おばあちゃん鍼灸師」さん、いいお仕事されてたんやなあ。

 

 

そしてまたその数日後、また別のご近所の、うちに来てくださっている方が、

「ちょっと骨見せてくれない?」

とやってきて、うちの骨格模型骨奴さん姐さん(元芸妓さんです)(ほんまかいな)とご自分の体を見比べ、触り比べて、

「ここが痛いのよね!」

と分析していかれました。

 

 一緒に骨を見ていろいろと説明をしながら、

「いい使い方してもらってるなあ」

と思いました。

 

 

 

今はテレビや雑誌も健康と食べることにはすごく関心の強い作りになっていて、目新しい、びっくりするようなインパクトのある情報がこれでもか!という感じでたくさん出てきます。

 

でも、体を調え、つくり上げるということはびっくりするような一回の魔法ではありません。

少しずつ積み重ねていく、続けていくということがないと、変わっていきません。

 

私が鍼灸院でやっていることは、その変化の一部分を少し加速すること、一度ぐっと引き上げて景色のいいところに連れて行くこと、です。

あとは自分でゆっくりとでもじっくりと、その景色のいいところにい続けられるように進んでいくことしかありません。

 

 

だから、その近所の方のように、こつこつと自分で続けていける方法を日常の中に持つ方法をお知らせしていきたいし、それができるだけ難しくなく特別なものではなく、その方の毎日に沿うように伝えていきたい、と改めて思いました。

 

 

そういう場として、寺子屋をやっています。

 

humanite.hatenablog.com

 

初めての試みで月1回やってきて、半分以上が終わりました。

でもやっぱり6回で何を伝えきれるでもなく、続けてお伝えできる場を作ろう、と考えています。

今回やってきた内容をベースにしたものは、また10月から第2期をスタートします。

それに加えて、その6回シリーズを終えた人たち向けの、ずっと続くおけいこ場をやっていけたら、と構想しています。

その中で、私もまたバージョンアップしていくので、それをまたお伝えできればと。

 

 

いま、月に3回、地元の集会所でやらせてもらっている「きちんとラジオ体操」の会もそうですが、こうやって、ここが「鍼灸師のいる町」として、私をうまく使って、自分で体をととのえることのできる人たちのいっぱいいる町になればいいなと思っています。

 

でもそれはこの近所だけでなくて、遠くから来て下さる方も同じ。

鍼灸師でもトレーナーでもなんでもいいんですけど、うまく使って、「自分で」自分をととのえることを、特別なことや難しいことが必要になる前に、自分でできるようになってほしいな、と思います。